カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)
- 肌が熱くて、ヒリヒリする
- 肌が変色している
- 異常に汗をかく(もしくはかかない)
- 爪が変形している
- 衣服が触れるだけでも痛みを感じる
カウザルギー・反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)とは
交通事故で怪我を負い、治療によって怪我が治癒しているのに、反して徐々に痛みがひどくなっていくことがあります。
このような症状が見られる場合はCRPS(複合性局所疼痛症候群)と呼ばれる交感神経の異常の可能性があります。
CRPSは怪我の程度に関わらず、外傷(軽度の場合も)、手術、骨折、打撲などが原因で発症することがあります。
交通事故などによって怪我をした場合、交感神経が作用し、アドレナリンが放出されます。
アドレナリンは血管を収縮させて出血を抑える働きをしますが、通常怪我が治癒すると交感神経反射が収まり、アドレナリンの放出を抑え、血管を元の状態にします。
しかし、怪我が治ったにも関わらずアドレナリンが放出され続けると、血管を収縮された状態が継続し、血管の重要な役割である栄養や酸素、老廃物の運搬が滞るようになり、激しい痛みやしびれを伴う様々な症状を誘発します。
CRPSには、カウザルギーとRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)があります。
カウザルギーとは、外傷によって抹消神経を損傷したことにより、灼熱痛などの痛みや異常を伴う症状をいい、RSDは主要な抹消神経の損傷を伴わない症状をいいます。
末梢神経の損傷(不完全損傷)によって生じる灼熱痛。
交感神経が異常に高ぶり、末梢神経への血流が滞り、末梢の組織が萎縮し疼痛が発生する。筋萎縮、発汗異常、関節拘縮、骨萎縮など。
CRPSと後遺障害
障害の状態 | 後遺障害等級 |
---|---|
軽易な労務以外の労働に差し支える程度の 疼痛があるもの | 7級4号 |
通常の労務に服することはできるが、疼痛により 時には労働に従事することができなくなるため、 就労可能な職種の範囲が相当に制限されるもの |
9級10号 |
通常の労務に服することはできるが、時には 労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの | 12級13号 |
※場合によっては、局部に神経症状を残すものとして、14等級が認定されるケースもある。
後遺障害等級の認定を受けるためのポイント
CRPSの後遺障害認定のポイント
CRPSで後遺障害等級の認定を受けるには、症状を他覚的に証明することができるかという点が非常に重要です。
RSDについては、1.関節拘縮、2.骨の萎縮、3.皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)
という慢性期の3つの症状をいかに証明できるかがポイントです。
①関節拘縮
関節拘縮とは、関節が固まって動かない状態をいいます。関節の可動域検査をすることにより立証します。
②骨の萎縮
骨萎縮とは、カルシウムなど骨を構成する要素が行き届かないことにより、骨が痩せていく現象です。
レントゲン検査などで骨の状況を証明します。
③皮膚の変化
皮膚の変化とは、皮膚が萎縮(乾燥・光沢・うろこ状など)したり、皮膚温に変化が見られるなど皮膚の異常をいいます。
MRIやサーモグラフィーで症状を証明します。
レントゲン検査や骨シンチグラフィーによって骨萎縮や骨折、骨の炎症などを調べます。
サーモグラフィー検査によって皮膚の表面温度の数値を調べたり、MRI検査によって皮膚や関節などの状態を複合的に診断してもらい、
健側と明らかに違う症状であることを証明する必要があります。
また、カウザルギーについては、神経損傷が認められる必要があります。
その上で、疼痛の部位、症状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動、その他の他覚的所見により、等級認定を行います。
その際、疼痛により労務や日常生活にどの程度支障をきたすかによってどの等級に該当するか判断されます。
関連事例
飲酒運転による車同士の正面衝突事故で後遺障害14級9号と慰謝料の増額が認められた事案
名古屋市在住の30代男性
最終示談金 | 375万円 |
---|---|
受傷部位 | 頚部挫傷、腰部挫傷、頚部椎間板ヘルニア |
等級 | 14級9号(手のしびれ) |