交通事故コラム

判例紹介(過失割合) 追い越し中の事故

監修:弁護士 森戸尉之( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 

札幌高判昭和59年11月19日

駐車場に入ろうとして右折を開始したバスと、その後方からバスを追い越そうとしていた車との間の事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。

事故態様

Y車は、先行していた友人から無線で、対向車がいないからバスXを追い越すよう言われ、バスXの動向に注意しながら方向指示器を点滅させ、時速約70㎞に加速して対向車線に入った。

他方、バスXは、展望台に立ち寄ろうと考え、駐車場の南方約35m付近で方向指示器を点滅させ、減速して右折のために中央線を越えようとし、バックミラーで後方を確認したところ、Y車が約6m後方に接近しているのを発見し、直ちに右折を中止した。そのため双方の衝突は回避したものの、Y車は進路を妨げられ、駐車場入口の縁石に衝突した。

裁判所の判断

過失割合 車(X)70%:車(Y)30%

バスXは、右折する際、Y車がバスXを追い越すために右方に既に進出してきていたにもかかわらず確認を怠ってそれを見落とし、駐車場へ立ち寄るため直前になって方向指示器を点滅させ、対向車線に進入した際になって初めてY車が右横に来ているのを認め、急遽ハンドルを戻し、衝突は回避したもののY車は進路を妨げられ駐車場の縁石に衝突したので、これを賠償する責任がある。

他方、Y車も、バスXが右折を開始し進路前方に進入した際に、直ちに接触や衝突の危険を回避するため、咄嗟に警音器を鳴らしたり、ブレーキを踏むなどした上、ハンドルを的確に操作して道路右側駐車場入口にY車を寄せれば、縁石への衝突は妨げられたものといえるので、過失はある。

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