判例紹介(過失割合) 店舗駐車場から後退して出ようとした車と店舗駐車場に入ってきた車が衝突した事故
監修:弁護士 森戸尉之( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 )
東京地判平成18年6月15日
店舗駐車場から後退して出ようとした車と店舗駐車場に入ってきた車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。
事故態様
Y車は、店舗駐車場から後退して道路へ出ようとしていたが、そこへ、X車が道路から店舗駐車場へ入ってきて、両車が衝突した。
裁判所の判断
過失割合 車(X)60%:車(Y)40%
Y車は、本件駐車場から後退して出るに当たり、後方の安全を確認し、他の車両の有無及びその動静に注意すべき義務があるのにこれを怠り、X車が後方から進行してきたのに、これに気づかないまま後退してX車に衝突したものであるから、後方の安全確認義務違反の過失がある。
他方、Xは、本件駐車場へ入る前の本件道路の横断歩道上で、既にY車のバックランプが点灯しており、ギアがバックに入っていることを認識していたのであるから、X車が本件駐車場に進入しようとする前に後退を開始することを予測することが可能であったというべきである。また、本件道路の幅員及び本件道路と本件駐車場との接続状況からすれば、本件道路で停止、待機するなどしてY車の後退を妨げないようにすることも可能であったというべきである。にもかかわらず、X車は停車することなく、Y車の後方までそのまま進行し、さらに、Y車運転手の顔を確認したというだけで、一方的に、Y車が譲ってくれたものと誤信し、Y車が後退しないものと考えて、バックギアの入っていたY車が後退することを予測せず、Y車の後退を妨げる形で本件駐車場へ進入したものである。
したがって、X車には、他の車両の動静に注意し、安全に運転すべき注意義務に違反した過失があるというべきである。
以上の事故態様及び過失内容からすると、本件事故の主たる原因は、X車の過失にあるというべきである。もっとも、Y車においても、後方の安全確認について、本件駐車場に進入する車両があり得ることを予見し、そのような車両の有無に注意していれば、双方の車両の位置関係からみて、X車の存在を認識することは容易であったというべきであるのに、衝突するまでX車の存在に気付かなかったという安全確認義務違反の過失は決して軽いものとはいえない。そこで、両者の過失割合は、X車が6割、Y車が4割と認めるのが相当である。
弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約