交通事故コラム

判例紹介(過失割合) 駐車スペースから一方通行の通路に出た車同士の衝突事故

監修:弁護士 森戸尉之( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 

東京地判平成22年9月16日

駐車場内にて、出口に向かうため駐車スペースから後退して通路に出たX車と、前進して通路に出たY車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。

事故態様

立体駐車場内にて、壁に前部を向けた状態で駐車していたX車が、右斜め後方の出口から出るために、右方向に後進を開始したところ、X車の2台右隣に、壁に後部を向けた状態で駐車していたY車が、同じくY車から見て右斜め前方の出口から出るため右折発進し、X車の右側面後部とY車の前部が衝突した。

裁判所の判断

過失割合 車(X)40%:車(Y)60%

Y車は、通路に出る際、左右を十分に注視し、前方道路を走行してくる車両の有無や安全を十分に確認して進行すべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠って右方の確認をせず本件事故を発生させた過失がある。

他方、X車も、後退する際は後方を十分に注視し、周囲の駐車スペースから通路に進入してくる車両の有無等を確認して進行する注意義務を負っているところ、一方通行の通路を逆行して後退していたのだから、一層後方の安全を確認して進行すべきであり、また、後退中に後方の確認を続けていればY車の動きを認識できたにもかかわらず衝突するまでY車が発進したことに気づかなかったことからすれば、後方を十分に確認することを怠った過失がある。

双方の過失態様、特に、Y車は発進に際して右方を全く確認していないこと、Y車から見て右方にあるX車の駐車スペースに車両がその前部を壁側に向けて駐車させている場合、同車が同スペースから出るためには一旦後退する必要があり、そのことはY車においても容易に認識できたこと、Y車が発進した時点でX車が既に後退を開始していたことを考慮すると、X車が一方通行を逆行する態様で後退していたことを斟酌しても、Y車の過失はX車の過失よりも大きいと言わざるを得ず、上記のとおりと認めるのが相当である。

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