判例紹介(過失割合) 駐車場通路交差部分で前進していた車とバックしていた車の衝突事故
監修:弁護士 西野智貴( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 )
東京地判平成21年1月13日
駐車場通路の交差部分において、前進していた車とバックしていた車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。
事故態様
本件事故現場の駐車場の東端には車両用の出入口が設けられ、車両の駐車区画の間に、東西方向及び南北方向の通路が設けられている。東西通路の幅は約4.7メートルであり(車止めがない枠の部分を除く。)、中に黄色の線が引かれた部分がある。南北通路の幅は約6メートルである。
本件事故が発生した午後10時前、本件交差部分より東側の東西通路は、駐車場から出ようとする車両で混雑していた。X車は、東西通路の北側部分を東に向かい前進してきたが、前方の車両が本件交差部分の先で停止したことから、本件交差部分にX車の前部が進入した辺りで停止した。
一方、Y車は、南北通路を北に向かい後進していた。Y車は、そのまま本件交差部分を通過してから左に転把して駐車場の出口に向かおうと考え、右後方に存在していたX車の存在に気付くことなく、本件交差部分の中央より北側まで後退させた。X車は、前方の車両が前進を始めたのを見て、ゆっくり発進させた際、右方から後進してきたY車の存在に気付き、ブレーキをかけたが間に合わず、本件交差部分の北西部付近で、X車の右前部角とY車の右後部角とが衝突した。
裁判所の判断
過失割合 車(X)30%:車(Y)70%
Y車は、夜間、駐車場内の南北通路において後進し、本件交差部分を通過しようとするにあたっては、自車の後方及び側方の状況を十分注意する義務があるのにこれを怠り、東西通路から本件交差部分にその前部を進出させていたX車の存在に全く気付かないまま、本件交差部分の中央より北側にまで後退した結果、本件事故を惹起させた過失があるというべきである。
他方、X車にも、駐車場内の東西通路を前進し、本件交差部分にX車の前部が進入した辺りで停止した後、前方の車両に続いて前進する際、周囲の状況を十分確認することなく前進を開始したことについて過失がある。
そして、双方の過失の態様を考慮すると、本件事故発生についての過失割合は、Y車が7割、X車が3割であると認めるのが相当である。
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