交通事故コラム

判例紹介(過失割合) 駐車スペースに向かってバックしていた車と、その間の通路を通り抜けようとした車が衝突した事故

監修:弁護士 西野智貴( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 

東京地判平成24年2月16日

駐車スペースに向かってバックしていた車と、その間の通路を通り抜けようとした車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。

事故態様

Y車が、本件駐車スペースに駐車するため、いったん後退してからハンドルを切り返して通路の右前方に進んだ後、再度後退した際、Y車と本件駐車スペースとの間の通路部分を通り抜けようとしたX車がY車の後退に気づいて制動措置を講じたが、Y車がX車の存在に気がつかなかったため、Y車をそのまま後退させた結果,Y車の左側面とX車の右後端とが衝突した。

裁判所の判断

過失割合 車(X)60%:車(Y)40%

X車は、通路前方において、駐車するための態勢に入っているY車が存在することを認識していたのであるから、その動向及び周囲の安全に対する注意をすべき義務があるのにこれを怠り、安易にその後方の通行余地を通過しようとしたことによって、本件事故を発生させた過失が認められる。

他方で、Y車においても、本件駐車スペースへ駐車しようとして通路右前方に車体を傾けた時にX車を確認してからは、一旦後退してからハンドルを切り返して再度後退するまでの間、X車の動向を全く確認しなかったことなど後方の安全確認を怠ったため、相当程度接近していたX車に気づくことなく、Y車を後退させたことによって、本件事故を発生させた過失が認められる。
そして、本件事故は、駐車場内において、その前方で駐車する態勢に入っている車両の存在を認識しながら、後行車が、あえて直進したというものであって、基本的には、後行車であるX車の過失が大きいものというべきであって、本件事故現場の状況、X車及びY車の過失の内容、程度をも総合考慮すると、本件事故発生についての過失割合は、X車につき60%、Y車につき40%とするのが相当である。

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