過失相殺とは
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横断歩道を歩いて渡っている途中で信号が変わってしまい、
右折してきた自動車とぶつかってしまいました。 -
それは怖かったですね。お怪我の具合はいかがですか?
この場合、過失相殺が考えられます。
交通事故では加害者と被害者という立場の違う両者が存在します。事故の原因によっては、全面的に加害者に過失があり、交通事故によって生じた損害全てを責任を持って負う必要がある場合と、被害者にも過失があり、加害者にだけ全責任を負担させることが不公平な場合があります。過失相殺とは、「損害の公平な分担」という不法行為制度の理念から、被害者にも不注意や落ち度があったために事故が発生した場合、生じた損害の金額を一定割合減額して賠償額を決定します。
被害者本人の過失とは
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大きな怪我ではなかったですが、私は怪我を負いました。
自動車側の運転手は無傷だったのですが、
この場合過失になりますか? -
歩行者側の無理な横断や夜間の場合、
過失を考慮される場合があります。
被害者本人に不注意や落ち度があって事故が起きてしまった場合や、事故の被害者になってしまった場合のことをいいます。
被害者側の過失
被害者側の過失とは
「過失相殺」は事故の損害を当事者に公平に負担させるためなので、被害者本人の過失だけではなく、被害者本人と身分上・生活関係上一体をなすと見られるような関係にある者の過失は、被害者側の過失と認められます。
被害者側の過失の例としては、①配偶者(婚姻関係もしくは内縁関係)、②監督者(父母や被用者である家事使用人など)があります。
例えば通園途中の幼児の手を親が離した隙きに、幼児が交通事故にあってしまった場合、親が監督をしていなかったことが被害者側の過失とみなされ、「過失相殺」される場合はあります。
一方、保育園の保育士が園児と手をつなぎ道路を歩行していたところ、園児の手を離した隙きに園児が交通事故にあってしまった場合、園児と身分上・生活関係上一体をなす関係とは認められず、被害者側の過失にあたりません。
被害者が未成年の場合
民法722条により、未成年者の過失を斟酌するためには、被害者である未成年者が、事理を弁識するに足りる知能(事理弁識能力)を備えていれば足り、行為の責任を弁識するに足りる知能までは必要ないとしました。(最判 昭和39年6月24日)
このケースの場合、小学2年生であった被害者の過失を認定し、過失相殺を認めました。
過失相殺と過失割合
過失相殺とは
過失相殺とは、損害賠償額を算定するにあたって、それぞれの損害額を双方に負担させる方法のことをいいます。被害者側にも過失がある場合は、被害者の過失割合に応じて賠償額を減額することをいいます。当事者間の過失割合に応じて、損害の公平な分担を図ろうとするのが、過失相殺制度です。
過失割合とは
過失割合とは、交通事故の被害者と加害者の双方の過失の割合です。交通事故は加害者の一方的な責任だけでなく、被害者にも過失がある場合があります。過失割合は「7:3」や「60:40」のように表します。
過失割合の決め方
過失の割合は加害者にとっても被害者にとっても重要なことです。
過失割合については、事故の状況や当事者の状態などによって異なっており、
目安となる基準が設けられています。
過失の程度にも、過失、著しい過失、重過失の違いがあり、その違いによって割合が大きく変わります。
過失 | 前方左右に対する安全不確認、発見後に回避措置を怠るなどの通常の注意義務違反 |
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著しい過失 | 脇見運転、酒気帯び運転、概ね15Km以上30km未満の速度違反、 ハンドル・ブレーキの不適切操作など |
重過失 | 居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転、30km以上の速度違反など |
【例】直進する自動車と右折する自動車が赤信号の交差点に進入し、衝突した事故
※ 出典
別冊判例タイムズ38【110】
「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」全訂5版
東京地裁民事交通訴訟研究会編
基本 | ![]() ![]() |
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