逸失利益とは
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交通事故で主人を亡くしてしまいました。
子どもがまだ小さいのでフルタイムで働くことも難しく、
本来主人が働いていたら得られた収入がなくなってしまい、
今後の生活や将来の子どもにかかる学費などが心配です。 -
お辛いでしょうが、将来の収入面で不安になりますよね。
でも、死亡による逸失利益は賠償請求できます。
死亡してしまった場合はもちろん、交通事故によって負傷し、身体の欠損や痛みなどの後遺障害が残ったため、事故以前と同じように働くことができなくなることがあります。
死亡や後遺障害がなければ本来得ることができた収入を逸失利益といい、損害が認められます。
逸失利益の計算方法
後遺症による逸失利益
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間によるライプニッツ係数)
基礎収入=事故時の収入 / 労働能力喪失率=表 / 労働能力喪失期間=症状固定日から67歳まで / ライプニッツ係数=表
基礎収入とは
基礎収入とは、事故に遭うまでに得ていた収入のことをいいます。
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会社員など給与所得者
事故前の収入を基礎として算出します。
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自営業者など個人事業主
前年度の確定申告額に基づく収入額から固定経費以外の経費を差し引いた金額。
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会社役員
報酬のうち、労務提供の対価部分。
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主婦など家事従事者
女性労働者の全年齢平均賃金(賃金センサス)を基礎収入とします。
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失業者
働く能力と意欲と可能性があれば、男女別の全年齢平均賃金(賃金センサス)を基礎収入とします。
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学生
男女別の全年齢平均賃金(賃金センサス)を基礎収入とします。
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高齢者
就労する可能性が高ければ,男女別,年齢別の平均賃金を基礎収入とする。
労働能力喪失率とは
交通事故により後遺障害が残ってしまい、働くことができなくなってしまった状況を労働能力を喪失したと考えます。
労働能力喪失率とは、後遺症によって失われる労働能力を数値化して表現したものです。
後遺障害が寝たきり状態を余儀なくされた場合は、労働能力喪失率100%ととらえることができます。
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等級 労働能力喪失率 第1級 100/100 第2級 100/100 第3級 100/100 第4級 92/100 第5級 79/100 第6級 67/100 第7級 56/100 -
等級 労働能力喪失率 第8級 45/100 第9級 35/100 第10級 27/100 第11級 20/100 第12級 14/100 第13級 9/100 第14級 5/100
労働能力喪失期間とは
労働能力喪失期間とは、症状固定時から一般に働けるとされている67歳までの年数のことです。
未就労者の場合は原則18歳ですが、大学卒業を前提とする場合は大学卒業時からとします。
症状固定時の年齢が67歳を超える場合は、簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
ライプニッツ係数とは
通常、逸失利益は、交通事故の示談が成立したときに保険会社から一括で支払われることになります。
しかし、将来受け取るべき利益を現時点で受け取ることになるため、その期間分の利息を控除する必要があります。
そこで、この利息分の金額(中間利息)を控除するための指数をライプニッツ係数といいます。
出典)「自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払基準」平成13年告示第1号
死亡事故における逸失利益
死亡事故では、事故に遭わなければ将来にわたって得られていたであろう収入を失うことがあります。
この収入を逸失利益といい、交通事故の被害者が加害者に請求できることがあります。
死亡事故における逸失利益の計算方法
(基礎収入)×(1-生活費控除率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツあるいはホフマン係数)
基礎収入=事故時の収入 / 生活費控除率=表 / 労働能力喪失期間=症状固定日から67歳まで / ライプニッツ係数=表
死亡による生活費控除率
被害者が死亡した場合、生存していれば支払っていた生活費の支出を免れることになるので、
死亡による逸失利益の算定では、収入から被害者本人が将来支払っていたであろう生活費相当額が控除されます。
一家の支柱 | 被扶養者1人の場合 | 40% |
被扶養者2人以上の場合 | 30% | |
女性(主婦、独身、幼児等を含む) | 30% | |
男性(独身、幼児等を含む) | 50% |