判例紹介(過失割合) 路外駐車場へ進入しようとした車と道路を走行していたバイクが衝突した事故
監修:弁護士 森戸尉之( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 )
東京地判平成22年7月14日
路外駐車場へ進入しようとした車と道路を走行していたバイクが衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。
事故態様
本件事故現場は、低木が植え込まれた中央分離帯によって隔てられた片側3車線道路である国道408号線(土浦学園通り)の松代交差点方面(南西)から土浦市方面(北東)へ向かう車線の第1車両通行帯上であり(各車両通行帯はいずれも3.3m(合計9.9m))、幅員5.0mの歩道を越え、「ダンスプラザステップ」と「山水亭」間の通路へと続く入口(以下「山水亭通路入口」という。)付近である。本件事故現場付近の国道408号線は、制限速度が時速60kmであり、本件事故現場は、事故現場手前の信号交差点停止線から約175mの距離にある。
本件事故は、自動二輪車Xが、国道408号線の第2車両通行帯を時速75kmで走行していたところ、対向車線を走行してきたY車は、中央分離帯の切れ目から右折して山水亭駐車場へ入ろうと考え、中央分離帯の切れ目で停止し対向車線の有無を確認したが、第2車両通行帯を走行していた自動二輪車Xを見落とし、向かってくる車両は存在しないと考え、発進、右折を開始してしまった。
自動二輪車Xは、本件事故現場から72m位の地点で中央分離帯の切れ目から発進してきたY車を認めたが、転回するのであれば急制動をかけずに回避できると考え、減速するに止めたところ、Y車が転回ではなく、山水亭駐車場入口へ入ろうと車線を横切ろうとしたため、危険を感じ、急制動をかけたところ、後輪がロックし、斜め左に滑っていき、山水亭駐車場入口でY車前部を歩道に乗り上げたまま、第1車両通行帯へ後部を残しつつ停止していたその後部左角へ自動二輪車Xの前部が衝突し、自動二輪車Xはその場で右側面を下にして転倒した。
裁判所の判断
過失割合 自動二輪車(X)20%:車(Y)80%
本件事故の事故態様は、自動二輪車Xには前方注視義務違反及び速度保持義務違反、Y車には、路外へ出るための右折の際の安全確認義務違反が認められ、不法行為責任(民法709条)ないし運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)を負う。
そして、それぞれの賠償責任を定める上での過失相殺割合は、上記事故態様に鑑みれば、自動二輪車X20:Y車80と定めるのが相当である。
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