判例紹介(過失割合) サービスエリア内駐車場通路を横断中の歩行者に、通路走行中の車が衝突した事故
監修:弁護士 森戸尉之( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 )
東京地判平成19年11月28日
サービスエリアの駐車場内で、通路を横断していた歩行者に、通路走行中の車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。
事故態様
歩行者Xは、自動車を運転して、外出をし、友部サービスエリアにおいて休憩をとり、売店で昼食を購入した後、本件駐車場に駐車していた自動車に戻ろうとして通路を徒歩で横断する途中、走行するY車と衝突し、路上に転倒した。
Y車も、同じ時刻ころ、本件駐車場の通路を入口方面から出口方面に向かい時速約25キロメートルで走行中、助手席に同乗していた父親から、約67.3メートル右斜め前方(通路の右端から約23.5メートル離れた地点)に駐車しているトラックの荷台にフェラーリが積載されている旨告げられ、当該フェラーリを見ながら約35.8メートル進行すると、Y車に背を向けるような感じで左方から右方に向かい斜めに通路を横断している歩行者Xを発見した父親が「危ない」と叫んだことから、視線を前方に戻したところ、約7.5メートル前方に歩行中のXを発見し、急ブレーキをかけたものの間に合わず、約7.9メートル進行して歩行者Xと衝突し、その後Y車は約1.1メートル進行して停止した。
なお、Y車の進路からの前方は、見通しを妨げるものはなく約150メートル先まで視認することができるが、左方及び右方は駐車車両等により視認が困難であった。
裁判所の判断
過失割合 歩行者(X)20%:車(Y)80%
Xは、本件駐車場の通路を横断するに当たり、左方から出口方面に向かい走行する車両の有無及び動静を十分確認すべき義務があるのにこれを怠り、漫然と通路を横断した結果、本件事故の発生を招いたと推認することができ、本件事故の発生につき相応の落ち度があるというべきであるところ、Xは、車両が頻繁に通行する本件駐車場の通路を斜めに横断していた一方、Y車は、約35.8メートルも進行する間、時速約25キロメートルのままわき見をしていたなど前示した本件事故の場所の状況、本件事故の態様、Y車の過失の程度を考慮すると、その過失割合は2割とするのが相当である。
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