交通事故コラム

判例紹介(過失割合) 駐車場通路で対向車を通過させようとバックした車と後続車の衝突事故

監修:弁護士 西野智貴( 弁護士への相談はこちら ☞ お問い合わせ・無料相談予約 

東京地判平成18年7月27日

駐車場通路において、対向車を通過させようと左に寄せながらバックした車と、その後続車が衝突した事故について、過失割合を判断した裁判例をご紹介します。

事故態様

事故当時、本件駐車場1階と2階を連絡する本件傾斜面両端には駐車車両があり、通行できる幅は約3.8mであった。

X車は、本件駐車場屋上に駐車するため、本件駐車場1階から本件傾斜面を進行し、2階に上がった。一方Y車は、本件駐車場地下1階から4階へ向かい、本件傾斜面手前でX車の後方を進行するようになった。X車は、本件傾斜面を上がり、左折して本件駐車場2階の通路を進行したところ、対向車が進行してきた。そのためX車は、対向車を通過させるため、一旦停止した後、左へ寄せようとして、後方の安全確認は全く行わずに後退した。

Y車は、本件傾斜面を上がるために加速して、本件傾斜面を上がって本件駐車場2階の通路に入ろうとしたところ、後退してくるX車を発見した。Y車は衝突を避けるためにブレーキをかけると共に右へ転把したが避けきれず、Y車左前部がX車右後部と衝突した。

 

裁判所の判断

過失割合 車(X)60%:車(Y)40%

X車は、後退する際には、本件衝突場所が駐車場内の通路であるから、後方から進行してくる車両等の有無を確認し、後方の安全を確認すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り、Y車と衝突したというものである。したがって、X車には過失があり、民法709条に基づく損害賠償責任を負うというべきである。

一方、本件傾斜面が本件駐車場2階から1階に下りる際にも使われ、2階の通路において対向車が進行してくる場合があることからすると、Y車は、X車が対向車が進行してきた場合に停車ないし後退することを考慮して、X車と車間距離をとって、その動静に注意すべき注意義務があったといわなければならない。それにもかかわらず、Y車は、その注意義務を怠ったものといわざるを得ないから、Y車にも過失が認められる。

以上のようなX車の過失とY車の過失を比較検討すると、X車の過失の方が重いといわざるを得ないから、本件事故についての過失割合は、X車60%、Y車40%と認めるのが相当である。

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